呼吸器科

かぜはもちろんのこと、呼吸器専門医として様々な呼吸器疾患の診療を行っております。

呼吸器の病気は長い経過をとり、日々の継続的な治療が必要なことが多くあります。
辛い症状から解放され、病気を意識しないで日常生活を送ることができるように、日々のふれあいを大切に、長期的な視点で診療をしたく存じます。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

タバコを吸っている、または以前にタバコを吸っていた方で、最近階段を昇るなど運動する時の息切れが強い、痰が多い、などの症状がある方はCOPDの可能性があります。まずは呼吸機能検査を行います。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)(肺気腫および慢性気管支炎)では、肺の中で酸素と二酸化炭素の交換をする肺胞という組織が溶けていき、呼吸する面積が減少し、肺の中の空気のトンネルである気管支が狭くなる病気です。原因のほとんどはタバコです。

朝に多い痰や咳、階段昇降時など運動する時の息切れが起こり、進行すると肺で空気中の酸素を取り込めなくなり、酸素療法が必要となります。

気管支が狭くなると息を吐く力が弱くなりますが、それを呼吸機能検査で評価し診断を行うとともに重症度の判定をします。

一度壊れてしまった肺は残念ながらもとには戻らないため、進行しないためにはまずは禁煙が第一ですが、抗コリン薬や長時間作用型交感神経刺激薬の吸入薬により、呼吸機能の悪化が遅くなり寿命が延びると報告されています。また吸入ステロイドは悪化を防ぐと報告されています。

喫煙されている、またはされていた方は、一度呼吸機能検査をすることをお勧めします。

間質性肺炎(肺線維症)

間質性肺炎(肺線維症)は、肺が硬くなる(線維化する)病気です。現代の医学でも硬くなった肺を治す薬はありません。進行を予防するにはまずは可能な限り原因を明らかにすることです。
東京医科歯科大学呼吸器内科は間質性肺炎の診療、研究を重点的に行っています。必要な場合はそちらでの精密検査を検討させていただきます。

肺はスポンジのような臓器ですが、間質性肺炎や肺線維症は、スポンジの壁、すなわち骨組みが硬くなる(線維化する)病気です。進行すると肺が硬く小さくなってしまい、空気中の酸素を取り込めなくなります。初期には軽度のせきや階段昇降時の呼吸困難を感じ、進行すると呼吸不全に陥ります。

間質性肺炎の原因には、関節リウマチなど膠原病に伴うもの、アスベストの吸入によるもの、薬剤の副作用によるもの、カビや鳥類の糞や羽を吸入して発症する過敏性肺炎が慢性化したものなど、原因は様々で、原因不明ですと特発性と診断されます。

特発性肺線維症は、症状出現からの平均寿命2.5年ともいわれているほど進行性で予後不良の疾患ですが、最近進行を遅らせる可能性があるピレスパという薬が、世界に先がけて日本で発売されました。ステロイドや免疫抑制剤が有効な場合もあります。しかし、一度線維化が起こった肺を治す薬はありません。よって進行させないことが重要です。原因がある場合はそれに応じて対処法も変わり、進行を防ぐことが可能な場合もあります。まずは原因を探すことが重要です。

過敏性肺炎

過敏性肺炎は、カビや鳥のふんや羽を吸入して発症するアレルギー性の肺炎です。

  • 毎年同じ季節にかぜをひく。
  • せきや息切れが気になる。
  • 家にカビが多い。
  • 自分や周囲の人が鳥を飼っている、または飼っていた。
  • 神社やお寺などがあり周囲に鳥が多い。
  • 羽毛ふとんを使っている。

このような方は過敏性肺炎の可能性があります。
東京医科歯科大学呼吸器内科は日本における過敏性肺炎の診療、研究の中心です。必要な場合はそちらでの精密検査を検討させていただきます。

夏型過敏性肺炎(住居のカビを吸入して発症)や鳥関連過敏性肺炎(現在の鳥飼育での発症だけでなく、隣人の鳩飼育、羽毛ふとんの使用、公園、神社、駅、庭に飛来する野鳥や野バトの集団棲息、鳥の剥製や鶏糞肥料の使用など間接および無自覚の抗原曝露で発症)が代表的です。

症状やエックス線、CTだけでは診断できないため、原因不明の間質性肺炎と診断されていることがほとんどです。

原因となる抗原に知らないで暴露され続けることにより、肺の線維化(硬くなる)が進行し、在宅酸素療法が必要になるほど呼吸不全が進行したり、さらに悪化し命にかかわる場合も多くあります。

過敏性肺炎の可能性がある場合は、原因を特定する努力をすることが最も重要です。

気管支拡張症・肺炎

気管支拡張症は、肺の中の空気のトンネルである気管支が炎症のために拡張する疾患です。子供の頃を含め以前の肺炎や気管支炎の後にできる場合もありますが、先天的な体質や原因がわからない場合もあります。

拡張した気管支には痰が溜まりやすく、朝方にたまった痰がせきと共に排出されます。副鼻腔炎など鼻の病気を一緒に持つ方も見られます。拡張した気管支はばい菌の温床となり、いつもばい菌がいる状態が起こり黄色など色のついた痰が続いたり、時にばい菌が増えて気管支炎や肺炎を発症します。ばい菌が増えるなどして気管支の壁が傷つき、そこから出血し血痰を生じることもあります。

気管支拡張症にはエリスロマイシンやクラリスロマイシンというマクロライド系抗生物質を少量で長期間内服することで、症状や感染のコントロールができることがあります。

結核

結核は過去の病気といったイメージかもしれませんが、決してまれではなく、せきが続く、肺に影のある方では常に考えなくてはいけない病気です。

日本では結核の発生数の減少が下げ止まっており、残念ながら先進国の中では患者数が多いのが現状です。

痰や胃液、場合により気管支鏡検査で結核菌が見つかることにより診断されます。

結核菌が多い場合はいわゆる排菌状態といわれ他の人に感染させる危険があるため、結核病棟がある病院に隔離のために入院が必要です。排菌していない場合、もしくは治療後排菌しなくなった場合は外来治療が可能です。

通常4種類(高齢の方、肝機能障害などをお持ちの場合は3種類)の薬をトータルで6ヶ月から9ヶ月使用することで治療します。

薬の進歩により結核は多くの場合は治る病気となりましたが、現在でも進行してから見つかった場合は肺に後遺症が残ったり命に関わる場合もあり、早期発見が必要です。また、不十分な治療は薬の耐性化を起こすため、薬は忘れず確実に内服することが重要です。

非結核性抗酸菌症

非結核性抗酸菌症は、抗酸菌といわれる結核菌の仲間のばい菌ですが、結核とは違います。

人に伝染することはなく進行もゆっくりですが、薬の効き目はあまり良くありません。最近増加傾向にあり、以前にも増して注目されている疾患です。

中高年の女性に多く、基礎に気管支拡張症があることが多く、咳や痰を生じる疾患です。非結核性抗酸菌症には、100種類近くの菌が同定されていますが、日本ではMACという菌が多くなっています。

リファンピシン、エサンブトール、クラリスロマイシン、症例によっては効果がより期待されるストレプトマイシンやカナマイシンなどのアミノグリコシド系の抗菌薬などで2年近く治療しますが、難治性のことも多く、手術を必要とすることもあります。経過観察と治療のタイミングは難しいこともあり、専門医による判断が重要です。

サルコイドーシス

サルコイドーシスは肺や眼を中心に、肉芽腫といわれる変化が全身に起こる、原因不明の病気です。

当院の設立者である古家 堯医師は日本サルコイドーシス学会の創設期のメンバーであり、厚生省の研究班の一員として長年研究に携わってきました。

若い方は健診の胸部レントゲンでリンパ節が腫れていることから発見されることも多いですが、高齢者では眼がかすむ、皮膚の湿疹などで発見されることも多くあります。心臓に病変が及ぶと不整脈を生じ命に関わることもあります。

早期に診断し、定期的に検査をすることが重要です。